このページは慶應義塾幼稚舎と慶應義塾横浜初等部を比較し、学校研究に役立てようというページです。
2024年には創立150周年を迎える歴史ある慶應義塾幼稚舎と、2013年に開校されまもなく創立10年を迎える新設校である慶應義塾横浜初等部。
どちらも私立小学校受験の中では最難関校として知られていて、私の周りでも志望している方がとても多い学校です。
幼稚舎はコネが必要ってイメージが強いし、横浜初等部の方がまだ合格しやすいのかな。正直慶應ならどっちでも良いんだけど…
同じ慶應とはいえ、幼稚舎と初等部では大きな違いがあるようです。
本日は慶應義塾幼稚舎と横浜初等部の違いについてまとめてみました。
教育理念
幼稚舎と横浜初等部では、学校の根幹である教育理念から違います。
慶應義塾幼稚舎の教育理念は「独立自尊」を実践できる人材を育成することです。
それに対して慶應義塾横浜初等部の教育目標は「社会的責任を自覚し独立自尊の精神を体現した未来の先導者を育てる」というもの。
「独立自尊」については共通していますが、横浜初等部は「未来の先導者を育てる」としています。
横浜初等部の説明会では、「子どもが社会に出る10年後、20年後、30年後…されにその先を見据えながら新たな教育を行うことを大切にしている」「小学生は未来からの留学生」という話もありました。さすがSFCらしいですね。
一貫教育
幼稚舎の卒業生は、普通部(男子のみ)、中等部、湘南藤沢中等部の3校に進学できます。
しかし、横浜初等部の卒業生は全員湘南藤沢中等部に進学します。普通部と中等部には進学することはできません。
どうしてSFCにしか進学できないんだろう?
SFCってかなり遠いんだけど…
それはね、幼稚舎とちがって横浜初等部は
小中高一貫教育として捉えられているんだよ
横浜初等部から湘南藤沢中等部・高等部への一貫教育を図にしてみました。
このように、横浜初等部から湘南藤沢中・高等部は一貫教育を行っており、他校への内部進学ルートはありません。
授業
幼稚舎の授業の特色
幼稚舎では、「まず獣身を成して、のちに人心を養う」という福沢諭吉の教えにしたがって、身体能力を鍛えることに力を入れています。そこで幼稚舎ではたくさんの体育行事や活動があります。幼稚舎は運動会に大変力を入れている学校です。
意外とお勉強が第一じゃないんだね。
横浜初等部の授業の特色
横浜初等部には特色のある授業があります。それは「書道・古典」「生き方科」「福沢先生の時間」というものです。
「古典」とは…古典の名作の鑑賞や暗誦を通じて、いにしえの言葉が持つ豊かさや美しさに触れていく授業。和室を活用して茶の湯などの伝統文化も体験する。
「生き方科」とは…小学校1~2年生の生活科や5~6年生の家庭科で学ぶ内容は、本来、6年間をかけて、連続して学習すべきものとし、総合的な教科「生き方科」でこれらを包含したもの。
「福沢先生の時間」とは…福澤諭吉の著作と生涯からその時々に適した題材を取り上げ、慶應義塾の歴史や門下生の生き方を学ぶという授業。
クラス替え
幼稚舎は6年間クラス替えがなく、担任の先生がそのまま持ち上がりをしています。これは幼稚舎の大きな特色です。
しかし横浜初等部は2年ごとにクラス替えを行います。
クラス替えがないことのメリットは、クラスの結束を高め濃厚な人間関係を築くことができ、「一生の友、一生の恩師」という関係を育てられること。クラス替えの度に「新しい友達を作らなければ」ということに悩まされる必要もありません。
デメリットは、クラスになじめないといった問題や、人間関係のトラブルがあっても逃げ場がないということです。また1クラスのみだと友人関係の幅が広がりにくいという懸念もあります。
横浜初等部が幼稚舎のような6年間持ち上がり制を選択しなかったのは、メリットよりもデメリットを重く見たということなのかもしれません。
まとめ
同じ慶應義塾の小学校とは思えないほど大きな違いがある2校です。
入試内容も異なるので、どちらを第一志望にするかによって、対策も併願校も違ってきますね。
最後にまとめます。
①幼稚舎の教育理念は「独立自尊」を実践できる人材の育成
横浜初等部の教育理念は「独立自尊」の精神を体現した未来の先導者の育成
②幼稚舎は普通部、中等部、湘南藤沢中等部の3校に進学可能
横浜初等部は小中高一貫教育で湘南藤沢中等部にのみ進学可能
③幼稚舎は身体能力を鍛えることに力を入れている
横浜初等部は「福沢先生の時間」など独自の授業がある
④幼稚舎は6年間クラス替えがない
横浜初等部は2年に1度クラス替えがある
志望校選びの参考になれば幸いです。