定員の縮小と出願数増加から私立大学は近年難化が進みました。
さらに推薦入試の充実から、一般入試はますます狭き門になっています。
大学受験を回避させた方がいいのかな…
そういったことから小学校受験でも中学受験でも、エスカレーター式で大学に進学できる大学附属校を目指す方が大変多いです。
しかし、中には入学者のほぼ全員が併設大学に内部進学することを希望しない学校もあるのです。
せっかく大学があるのに内部進学しないって、もったいないよね?
併設大学に進学することを全く前提としない附属学校とはどのような学校でしょうか。
本日は併設大学への進学率の低い附属学校を調べてみました。
私立学校
内部進学率が5%未満の私立学校
まずは内部進学率の低い私立学校についてまとめます。
私立小学校受験向けの記事のため私立小学校を併設している学校のみ紹介します。なお、音楽大学などの専門の大学はここでは除外します。
・東洋英和女学院
1884年に開校されたキリスト教プロテスタント校。東洋英和女学院小学部の倍率は12倍弱という人気校。
卒業生172名中6名東洋英和女学院大学へ進学
内部進学率3.4%
・白百合学園
1881年に開校されたキリスト教カトリック校。格式の高い伝統校。
卒業生164名中4名白百合女子大学へ進学
内部進学率2.4%
・湘南白百合学園
神奈川県藤沢市にある白百合学園の姉妹校。小学校は上皇后美智子様が疎開のため一時在校していた。
卒業生122名中5名白百合女子大学へ進学
内部進学率4%
・東京農業大学第一高等学校
東京農業大学稲花小学校は2019年に創立されて以来10倍越えの倍率が続く人気校。
卒業生329名中12名 東京農業大学へ進学
内部進学率3.6%
上記の学校は併設大学があるにもかかわらず、その内部進学率はわずか5%未満です。
内部進学率が極めて低い理由
先に挙げた学校は進学実績が良く、難関大学や医学部進学を希望している生徒や、それを期待している教育熱心な保護者ばかりです。
その反面、併設大学は偏差値の高い難関大学というわけではなく、学部も大変限られています。
女子大と進学率
白百合女子大学、東洋英和女学院大学、そして神奈川のフェリス女学院大学、兵庫の神戸女学院大学など…。これらの附属高校と大学の偏差値は大きな開きがあり、内部進学率が極めて低いです。
その理由は先程も述べましたが、女子大の学部が限られていることが大きいと考えられます。
上記の大学の学部一覧です。
- 白百合女子大学
文学部、人間総合学部
- 東洋英和女子大学
人間科学部、国際社会学部
- フェリス女学院大学
文学部、国際交流学部、音楽学部
- 神戸女学院大学
文学部、音楽部、人間科学部
このように、わずか2〜3の学部しかありません。
有名な総合大学だと10学部、数十学科を有し、文系から理系まで広くカバーしています。
それに対して女子大はこの通り、文学部と国際系や人間科学というかなり限られた学部のみです。「文学部は就活に不利」という見方もあり、受験生からの人気は高くありません。
また、女性も男性同様に働く時代です。
女子大を出て一般職に就き寿退社…という時代ではありませんので、専門的な知識を得られる大学、就職活動に強い大学が人気です。
そのようなことが、内部進学を避け、他大学を受験する理由なのでしょう。
国立学校
私立の学校は併設大学への推薦制度がありますが、国立の場合、一般的に附属学校の生徒を優遇する制度はありません。附属学校はあくまでも大学の研究の場としての位置づけなのです。
大学へ進学を希望する生徒は、外部生と同じ条件で試験を受けなければなりません。
・東京学芸大学附属高等学校
卒業生約330名中6名 東京学芸大学へ進学 内部進学率1.8%
・筑波大学附属高等学校
卒業生約240名中6名 筑波大学へ進学
内部進学率2.5%
内部進学という言い方は不適当かもしれませんが、このように低い内部進学率になります。
しかし、お茶の水女子大学附属高等学校は「高大連携特別教育プログラム」を実施しており、お茶の水女子大学への「高大連携特別選抜」が行われています。そのため、毎年10名以上がお茶の水女子大学へ進学しているそうです。2022年度は卒業生約120名中17名、14%の生徒がお茶の水女子大学へ進学しました。
まとめ
女子大など学部数が少ない大学への内部進学率は極めて低い。
国立大学の附属学校の内部進学率は極めて低いが、お茶の水女子大学附属高等学校には高大連携特別選抜がある。
本日は内部進学率が極めて低い学校とその理由についてまとめました。
進ませたい学校が大学附属の場合、内部進学率を確認した方がよいですね。