【キリスト教学校】女子校が多く、男子校が少ない理由を解説

雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科など首都圏には名門女子校が多数あります。そのほとんどがキリスト教の学校です。

お受験パパ

女子だと受験できる学校がたくさんあっていいな。
それに比べて男子の私立小学校は少ない…

男子の私立小学校は立教小学校と暁星小学校のみです。どちらもキリスト教の学校ですね。

なぜキリスト教の女子校は多いのに、男子校はこれほど少ないのでしょうか。

その理由を探ってみました。




目次

首都圏のキリスト教小学校

十字架の写真

首都圏のキリスト教学校を見てみましょう。

共学校

キリスト教共学校

カトリック校
  • 目黒星美学園小学校
  • 星美学園小学校
  • 東星学園小学校
  • カリタス小学校
  • サレジオ小学校
  • 聖ドミニコ学園小学校
  • 聖ヨゼフ学園小学校
  • 聖セシリア小学校
  • 聖マリア小学校
プロテスタント校
  • 新渡戸文化小学校
  • 聖学院小学校
  • 東京三育小学校
  • 横浜三育小学校
  • 光風台三育小学校
  • 青山学院初等部
  • 青山学院横浜英和小学校
  • 青山学院大学系属浦和ルーテル学院小学校
  • 関東学院小学校
  • 関東学院六浦小学校
  • 捜真小学校
  • 横須賀学院小学校

女子校

キリスト教女子校

カトリック校
  • 雙葉小学校
  • 田園調布雙葉小学校
  • 横浜雙葉小学校
  • 白百合学園小学校
  • 湘南白百合学園小学校
  • 聖心女子学院初等科
  • 光塩女学院初等科
  • 晃華学園小学校
プロテスタント校
  • 東洋英和学院小学部
  • 立教女学院小学校※聖公会系

男子校

キリスト教男子校

カトリック校
  • 暁星小学校
プロテスタント校
  • 立教小学校※聖公会系
お受験ママ

共学校も意外と多いのね

すみれママ

歴史ある伝統校、名門校として首都圏で名を馳せているのは女子校の方が多いね




キリスト教の女子校が多い理由

明治時代に描かれた西洋人の絵

なぜキリスト教の女子校は数が多いのでしょう?それは日本の歴史が関係していました。

キリスト教の女子校の成り立ち

明治期の日本は「女子に教育は必要ない」という考え方が支配的でした。

16歳で結婚して家庭に入っていたような時代なので仕方ありませんね。

その当時、開国した日本で宣教師たちは布教活動をしていました。中でもカトリックの宣教師、修道女たちはハンセン病患者を救い、孤児院をつくり捨て子たちに手を差し伸べ、熱心に福祉事業を行っていました。

その後、上流階級の子女を教育するために学校を各地で開いたのが、キリスト教女子校のはじまりです。

そこで疑問が生じます。

キリスト教は江戸時代に酷い弾圧を受け、明治に入ってからも差別と偏見の目は続きます。そんなキリスト教の学校に、良家の子女が集まったのでしょうか?




キリスト教女子校が人気を得た理由

結果的にキリスト教の学校は指示を得ました。

その理由は「ミッションスクールになぜ美人が多いのか」という本にありました。

修道女が学校を設立し、三年後には校名を「女子仏学校」と改めた。のちの白百合学園である。この「仏」とは、フランス人修道女による、フランス式の躾と初等教科を伝授し、そしてなによりの特色として実際にフランス語を教える学校であった。「フランス式」という点が、日本にいながらにしてヨーロッパ流を学ぶことができるという印象を与え、歓迎されることになる。

「ミッションスクールになぜ美人が多いのか 日本女子とキリスト教」井上章一、郭南燕、川村信三著 2018年11月

つまり、この頃には富裕層の間で西洋、特にフランスへの憧れがあったようです。

このようにして、キリスト教学校は日本各地に続々とでき始めたのです。

memo キリスト教学校の歴史

1875年 雙葉学園の前身となる学校が開校

1877年 立教女学校が開校

1881年 白百合学園の前身となる学校が開校

1884年 東洋英和女学校開校

1888年 暁星学園の母体となる神学校が開校

1910年 聖心女子初等科開校

1931年 光塩女学校設立

1948年 立教小学校が開校

キリスト教の男子校が少ない理由

さて、キリスト教の女子校がどのように成立し、人気を獲得したかを説明しました。

それでは、なぜ男子校は少ないのでしょうか?

その理由はこちらにありました。

キリスト教の「男子」教育をごく簡単に説明すると、優れた家庭人、良妻賢母を創造する女子教育とは様相が異なり、直接、社会の指導者層、エリート層を涵養するという目標に向かっていた。しかしその分野では、キリスト教系の学校は出遅れ、圧倒的に官立学校に軍配が上がる。キリスト教系の男子学校は、第二次世界大戦前ほとんど官立の補助的立場しか与えられていなかった。

「ミッションスクールになぜ美人が多いのか 日本女子とキリスト教」井上章一、郭南燕、川村信三著 2018年11月

当時は民よりも官の時代です。エリートは猛勉強して、官立の学校に入るのが一般的でした。

早稲田、慶応という日本を代表する私学のトップも、当時は肩身の狭い思いをしたと読んだことがあります。

そんな時代にキリスト教の学校を卒業した男子が国の要職に就くことは難しかったことでしょう。

これがキリスト教男子校が少ない理由なのです。




まとめ

ステンドグラスの写真
  • キリスト教女子校が多い理由は、「女子に教育は必要ない」という日本の男尊女卑の時代に、キリスト教の宣教師たちが上流階級の子女を教育するために学校を各地で開いたことにあった。
  • その反面、官立学校の強い時代であったので、キリスト教の男子校は創られなかった。

日本の教育に手を差し伸べた当時の宣教師や修道女の愛を、厳しい時代を乗り越え今も大切に守り受け継ぐキリスト教学校。

時代が変わってもキリスト教学校が高い人気を得続けている理由がよく分かりました。

当ブログは「ミッションスクールになぜ美人が多いのか」という本を参考にさせていただきました。

ミッションスクールの受験を考えている方にとてもお勧めの一冊です。

(タイトルはちょっとアレですが、いたって真面目な本です。)




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この記事を書いた人

元塾講師、学校職員。
子どもの小学校受験の経験から
知育やお受験について発信しています。

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